命はお金で買えるのかもしれない。てんが最期に教えてくれたこと。

てんが逝って、初七日を終えました。 思い返すと、いろんなことが頭をよぎります。

逝ってしまうまでの日々を振り返ると、「あのとき、こうしていれば」という後悔と、「これでよかったのかな」という問いが交互に浮かんでくるんですよね…。

亡くなったということは受け止めれてはいるのだけど、今日は、今感じてることを正直に書いておこうと思います。 少し重い話になるかもしれないけど、できるだけ前向きに…。

こんにちは。

Worker’s Cafe のけたろーです。

心や身体のこと、日々の暮らしのこと、仕事と生活のあいだで感じたことを、ここではゆるく書いています。

さて…。 今回はこんな話です。

目次

変化点はどこだったんだろ? って。

ボクは、機械を設計して創る仕事をしているのだけど、その中で「変化点」という考え方があります。 

トラブルが起こった時に、何が起因して起こったのか? 一種のターニングポイントのことを変化点と呼んでます。 

機械の例でいえば、正常運転のときって何事もなく、「問題なく」稼働しています。 でも、「あること」をきっかけにして、異常が発生します。

操作方法が変わった。 材料が変わった。 環境が変わった…。 など。 原因を探るときは、まず、「何が変わったのか」を最初に探します。

で、てんのことを振り返ったとき、ICUに入ることになったあの日のことが頭に浮かぶんです。 

糖尿病への疑いから、詳しく検査をしましょうということで、入院して、点滴をして。 それから、肺水腫、胸水を併発。 おまけに、「この子は心筋が弱い。」という診断をうけて。

点滴については、こちらが「あまり水をのんでないみたい」ということを伝えたからの処置みたいな感じを受けた。 でも、その量が多すぎたのではなかったのか? とも思えたり。 

もしかすると、点滴を受けたことが「変化点」だったのかもしれないんじゃないか? って。

もちろん、医療のことは素人のボクには断言できません。

でも、機械設計者として長年「変化点にトラブルの原因がある」と考えてきたボクには、あの点滴が、ずっと引っかかっています。

だって、ICUに入れられたと聞かされたあの日は、検査で病院に行ったはずが、なんでICUでやばい状態になってるんだ? って、ちょっと信じられなかったし…。

肥満をやたら口実にされてた感。

動物病院の診察台に黒白の猫が横たわり、
白髪の獣医師が優しく触れている。
点滴のスタンドが傍らに立ち、
若い男性が心配そうに猫を見守っている。
懸命な医療と家族の思いを描いたイラスト。

てんは、確かに太っていました。最大12キロくらいかな。笑

「食べるのが好き」みたいで、先住猫くぅのご飯まで横取りしてたほどでした。 ただ、医者に診てもらうたびに、「この子は、太ってるからなぁ。肥満だし。」と言われ続けていたことも、ちょっと引っかかっていたんですよね。

心臓が弱い、血糖値が高い、便秘が続いている… もっとも、心臓が弱いというのは、遺伝の可能性もあるとのことだったんだけど、「肥満だから」の言葉ひとつで、全部が片付けられてしまうような感覚があったりして。

もちろん、肥満が体に良くないのは事実。

けど、その少し前に、医者からすすめられた肥満解消の餌に切り替えてたんだけど、それで以前よりも便の出が悪くなってるなという印象はある。 もしかすると、そこが変化点なのかも。

肥満で片づけるのではなく、それ以外の原因をもう少し丁寧に探ってもらえていたのかな、と思ったりもしたんです。

設備が整っているから、処置が増えていく? 感。

かかりつけの病院は、近隣の動物病院の中では、設備が整ってる方でした。 ICUがあるというのは、ここくらいかも。 だからこそ、いろんなことが提案されてきたという感覚もあります。

糖尿病の診断で、エピペン(インスリン注射)を試してみたけど合わないから新薬をとか、腎臓も心配だからこちらも薬をとか、やたらと薬が増えていった。 あと、点滴も。 言い方があれなんだけど、なんだか、実験されてるようで…。 処置や投薬が増えていくたびに、てんにはそれだけ負担もかかっていたのだと思う。

ペットは、しゃべれない。「これが嫌だ」「つらい」と言えない。

飼い主であるボクらは、普段の生活で、彼らの症状をみることはできても、診断はできない。 判断するのは医者なんですよね。 ボクらは、医者を信用するしかない。

セカンドオピニオンを、早めに取るべきだった…。

医者によって、診方も様々だと聞きました。 

セカンドに行ってみようか? と家内とも話ていたんだけど、処置も途中になるし、すぐに別の病院へという状況にはなかったです。

でも、一つの医院だけに診てもらい続けたことが、今になってはちょっとした後悔です。 

たしかに、通ってた病院は、設備は整っていました。 スタッフさんも親切でよかった。 でも、一人の先生の判断だけに頼っていると、見落としが生まれる可能性は否めない。

皮下点滴が処理されずに溜まってしまったときのことがそれ。 一人の先生は、「脂肪腫だから問題ない」といい、でも、苦しそうにしてるんでもう一度連れて行ったら、別の当直医曰く、『これは化膿してる』と。 別の先生がいたのが幸いだった出来事でした。 もし、脂肪腫のままで放置されていたらと思うと…

見立てで、かなりの差があったのは否めないです。 

機械の設計でも同じで、一人の視点だけで設計すると、別の人が見たときに「なんでここをこうしたの?」という盲点が出ることがあります。 

もっと早い段階で、別の病院での意見を聞けていたら、違う選択肢があったかもしれない。 後悔しても仕方がない、と思いつつも、この点は書いておきたかった…。 

セカンドオピニオン、大事です。

救急病院で、ふと思ったこと。

てんがうめき声をあげ始め、後ろ足がもつれるようになった夜のこと。 

かかりつけの病院が開く時間には早すぎたので、救急でやってる動物病院へ車を飛ばした。 そこは、かかりつけよりも設備がずっと充実していました。 機材も新しく、スタッフも多い。 救急を扱っているので24時間体制で対応してもらえる。

血液検査をしてもらったところ血糖値が高く、強制給仕かカテーテルかという選択肢を示されました。 入院した場合の日額を聞いたら、かかりつけの5倍くらいの金額でした…。

曰く、24時間対応で、スタッフの人件費を考えるとそれくらになります、とのこと。 

入院日数は、1週間くらいにはなるとのこと。 金額を考えると、てんには申し訳なかったんだけど、とてもじゃないけど…。 それで、ふと、思ったんです。 命はお金で買えるのかな… と。

最新の設備、先端の薬。 お金さえ出せば、高度な医療で診てもらえる。 より多くのスタッフが対応してくれる。 とすれば、お金があれば命すら買えるんじゃないのか? って。

また、延命という意味では、お金で命を買うことは、あながち間違いじゃないのかもしれないなって思ったりした。

人間の場合は社会保険があるから、そこそこの医療は受けれるし、また、ある程度保険でカバーしてくれるから、お金の面では、ある程度優遇される。 でも、ペットの場合はどうだろう? 保険に入ってても、給付は限定的になる。 結局、お金を厭わないという状況が強いというわけかなって。 

結局、入院させると、距離があって通いづらいこともあり、かかりつけ医の判断も仰いでから決めようと、一旦、家に戻ることにして、途中で、かかりつけに立ち寄りました。 そこで初めて、後ろ足のもつれは血栓が原因かもしれないという話が出ました。 

猫では骨盤あたりに血栓ができやすいらしく、それが足のもつれとうめき声の原因になっているかもしれないと。 手術で除去できるかもしれないけど確度が低い。 心臓への負担を考えると、何とも言えない、とのことでした。

先生からは、「心筋が弱いというのを少し見落としてたかも」 という言葉もありました。

でも…。 ICUの時に、心筋が… って言ってた割には、それまでの処置が、お世辞にも心臓をいたわるような処置ではなかったのは否めない。 … 結果論だけど。

最期。 命は、どう生きるかだと思う。

夜の静かなリビングで、白髪の男性がソファに座り
黒白の猫を胸に抱きながら窓の外の夜景を見つめている。
テーブルにはコーヒーカップ。
一緒にいられる時間の尊さを感じさせる
静かで温かいイラスト。

延命という意味では、お金で命を買うことは可能かもしれない。 家族の立場では、ちょっとでも一緒にいたい。だから、どんなことをしてでも生きてほしいと願うのは当然のこと。 

でも本人の側で思えば、仮にそれで命をとりとめたとしても、身動きが取れないような状態になるのなら、果たしてそれが幸せなのかどうか? とも思ってしまう。

むしろ、家族に愛され、自分らしく生きて、好きな場所で、最期に家族に看取られながら、その命を全うできたのなら、その方が本望なんじゃないか…。 これは、てんのことだけじゃなく、人も、同じかなって。

自分事として思えば、命の長さよりも、どんな風に生きたか。 誰かに愛されて、自分らしく過ごせた時間の方が、
お金では買えない。 てんが教えてくれた気がします。

てんの最期は、家内に添い寝してもらいながら、苦しまずに静かに逝きました。 

病院に預けて、もしものときは、看取れない…。 それを思えば、それでよかったのかなって思います。 もっとも、ボクたちが願っていたのは、彼が復活して、朝には、いつものように元気になってくれることでしたが…。

てんのことは、命のこと、医療のことを、ちょっと考えさせられる出来事でした。


ここまで読んでくれてありがとうございます。

Worker’s Cafeでは、

  • 日常の中でふと思ったこと
  • 仕事や人間関係のこと
  • 旅先で感じたこと
  • 使ってよかった道具や本

そんな「日常と仕事のあいだ」にある話を書いています。もしよければ、他の記事ものぞいていってください。


ちなみにボクは、「聴き屋」として人の話を聴く活動もしています。

考えごとを整理したいときや、少し話してみたいときは、こちらもどうぞ。

夕焼けに染まる窓辺に黒白の猫が丸くなって眠っている。 傍らにはピンクの花とキャンドル、 「Thank you for everything」と書かれたメッセージカード。 愛された命への静かな祈りを感じさせるイラスト。

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Written by

けたろー。 けたろー。 Owner/聴き屋。

ワンオフで機械づくりの仕事をしながら
「聴き屋」として
人の話を聴く活動をしています。

珈琲、クラフトビールと猫と旅が好きです。

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